2009/03/29(日)

米政府が発表した官民投資プログラム(PPIP)とは、財務省や米連邦準備理事会(FRB)などの政府機関に加えて、民間投資家の参入を促す工夫を凝らした点が最大の特徴。これには、資金量を増やして多くの資産を買い取れること、資産の価格評価に民間のノウハウを利用できることの2つのメリットがある。この官民投資プログラムは、買い取り対象となる資産や投資家のリスク許容度に合わせ、住宅ローンや商業不動産ローンなどの「ローン債権」の買い取りファンドと、住宅ローン担保証券(RMBS)や商業用不動産ローン担保証券(CMBS)など「証券化商品」の買い取りファンドの2つの枠組みに分かれる。
ともに民間投資家が買い取り価格を決定。政府が公的資金を使って融資したり、共同出資したりする。中心はあくまで民間の投資家で、政府は共同の出資者の役割に専念する。
「ローン債権」ファンドは景気悪化に伴う不良債権が対象。債権を抱える銀行が買い取りを希望するローンを政府に提示し、入札を行う。最も高い価格を提示した民間投資家が買い取る。政府は投資家と同額を出資する。さらに投資家が購入資金を調達する際に、出資額の6倍まで米連邦預金保険公社(FDIC)が債務を保証する。
そのため、投資家と財務省がそれぞれファンドに対して10億ドルの資本を提供すれば、140億ドルのローンを買い取るため、FDICによるファイナンスで最大120億ドルを調達できる。
この結果、民間投資家は買い取り額の14分の1までしか損失を負わない。投資家の損失を限定し、広く参加を促す狙いがある。
「証券化商品」ファンドはRMBSなどのほか、クレジットローンや自動車ローンを証券化した資産担保証券(ABS)全般が対象。これらは証券に含まれている資産の価値が不透明で、流通市場が機能不全に陥っている。価格を算定するには独自のノウハウが必要となるため、実績のある機関投資家5社を選び、買い取る資産の選定、価格設定、売却を委ねる。
「ローン債権」ファンドと同様、政府が投資家と同額を出資し、さらにローンを提供する。ただし、ローンは最大で出資額と同額にとどめる。民間投資家の損失リスクは買い取り額の4分の1。官民共同で投資を実施し、利益も損失も同等に分配する。「証券化商品」ファンドは、「ローン債権ファンド」に比べてリスクが高く、リスク許容度の大きい投資家の参入を見込む。
また機関投資家5社は、買い取った証券を担保としてFRBの資金供給プログラムに参加し、融資を受けることもできる。FRBは、ターム物資産担保証券貸出制度(TALF)を拡充することにより、買い取りの財源を確保する。具体的には、現在2000億ドルのTALFの枠を最大1兆ドルまで拡充する。
過去に「トリプルA」の格付けを得ていた、発行されてから時間が経っている住宅モーゲージ担保証券(RMBS)、および「トリプルA」格付けの商業モーゲージ担保証券(CMBS)と資産担保証券(ABS)も担保として受け入れる。これで投資家は買い取り額を増やすことができる。
買い取りファンドは財務省に対し、資金の50%に相当するシニア債の発行を要請できる。それにより、民間資金1ドルに対し、公的資金2ドルのレバレッジを確保する。
米政府が不良資産買い取りに割り当てる公的資金は、最大で1000億ドル。民間投資家の資金を加えることで、これを1兆ドルまで膨らませる計画だ。対象となる不良資産は、約20兆ドル規模とみられる。
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